イジワル同居人は御曹司!?
小泉氏の部屋はロフトの部分が寝室になっていて、下がキッチンとリビングの居住スペースとなっている。

荷物は全て下に置いてあるので、降りていかないとメイクが出来ない。

下着姿のままベッドから抜け出して、脱ぎ捨ててあった服を適当に身につける。

メイクをしたら速攻で帰ろう。

私は下へと続く階段をギシギシと降りて行く。

「おはようございます。青池さん」

彼は昨晩の乱れっぷりが嘘のように爽やか満載の笑顔を向けてくる。

服装もスウェットなどのルームウェアではなく、ボーダーのカットソーにネイビーのコットンパンツに着替えている。

彼のきちんとした性格を伺わせて、強引に誘惑した事が何だか無性に申し訳なくなってくる。

…身体の相性は抜群だったから後悔はしてないけど。

「お、おはようございます」

反射的に挨拶を返してしまった。

「今、朝食の準備をしているんです。良かったら一緒にどうですか？」

彼は私が答える間もなく「此方へどうぞ」と言ってダイニングテーブルの前に座らせた。

どうしよう。

早くメイクをして帰りたい。

しかし鼻歌混じりにキッチンへ向かう彼になかなか言い出せない自分がいる。

「お待たせしました」

彼はあっという間に、トーストとサラダ、ベーコンとオムレツをワンプレートに盛り付けてテーブルの上に出した。

しかもホットコーヒー付き。
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