イジワル同居人は御曹司!?
「身体で払っていただけるのであれば本日9月25日から3カ月間無償で同居することを許可します。その間にお金を貯めて、12月25日までにこの家から出て言ってください」

「…はい」私は仏頂面で同意する。

さっきは不覚にも一瞬カワイイと思ってしまったが、やっぱりムカつくメガネだ。

しかも期日がクリスマスって言うのも何だか皮肉なものだ。

「家賃は一か月155,000円としますので、その分労働をしていただきます」

私は「はい!」とすかさず手を上げる。

「私思ったんですけど、一人で借りるのであれば155,000円かもしれませんが、奏さんと一緒に暮らすのであれば一人頭72,500円だと思います」

「私は大家なので頭数には入りません」

奏さんは眼鏡を人指し指でくいっと上げる。

「ええ?!なにその屁理屈!!」

訝しげな視線を向けて反論すると奏さんの眼鏡の奥の瞳がギラリと光る。

「利益度がえしの格安価格です。嫌なら出て言ってもらっても構いませんが?」

「い…や、別に私は構いませんが…」

脅しに屈し私はトーンダウンする。

「炊事、洗濯、掃除その他一切の家事は藤田さんが担当してください」

どうせ、独り暮らしでも家事をするのだから同じ事だ。

奏さんの分が一人増えたことで大した手間でもない。

それで現在支払っている4万円も浮くのであれば私にとって悪い話じゃない。

奏さんも何だかんだ言って仕事が忙しいから誰かに身の回りの世話をしてほしいのだろう。

お互いメリットを享受し合える関係って訳だ。
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