イジワル同居人は御曹司!?
…とはいったものの、どうしたものか。

自室の鏡の前で私は考え込む。

ゆうぽんの持って来てくれた服は全て派手だった。

ペイズリー柄のミニスカートを履いた自分の姿を鏡で見て唖然とする。

超絶似合ってない。

しかもウエストきっついし。

その時玄関のドアが開く音が聞こえた。

奏さんが帰って来たようだ。

いつも帰宅は午前様で私が起きている時間に帰って来るのは珍しい。

キツキツのペイズリー柄を脱ぎ、いつものデニムに履き替える。

部屋から出ると丁度奏さんが2階へ上がって来るところだった。

「おかえりなさい」

「ただいま」

背筋にピリッとした緊張感が走る。

「お夕飯は？」

「食べてない」

「じゃあ、直ぐに用意します」

うむ、といって、奏さんは南側にある自室へと入っていった。

私と奏さんって大正時代の主人と女中みたい。

波平みたいに和服に着替えて登場したらどうしよう。

でも意外と似合うかも。

出汁にお味噌を溶かしながらフトそんなくだらない事を妄想してしまう。
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