イジワル同居人は御曹司!?
奏さんはリビングのソファーにドサリと座り込んだ。

「紗英、水だ、水」

冷蔵庫から500mlのペットボトルを取って来て奏さんに手渡す。

「まったくどんだけ飲んだんですか!酔っ払い」

奏さんは一気に水を飲むと、肩で息をつく。

「シャンパン、ワインの赤と白、ウィスキー…」

聞いているだけで吐きそうなラインナップだ。

そういえば歩もザルだったことを思い出す。

「じゃあ、私はもう寝ますね」

これ以上酔っ払いに付き合うのはごめんだ。

私はそそくさと自分の部屋に戻ろうとする。

「紗英」

…が、しかし、奏さんに呼び止められる。

そうは問屋が卸さないようだ。

「ちょっと」と言って、奏さんはソファーの隣をポンポン叩く。

どうやらここに座れ、と言ってるらしい。

えーヤダなー

酔っ払いの隣に座るとロクな目に合わないことくらい今までの経験でよく解っている。

「ネクタイがキツイ。緩めて」

「はあ?」

そんなん自分でどーにかせい!と言ってやりたくなる。

「これも155000円のうちに入っている」

…ほらね。

やっぱりロクな目に合わない。
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