イジワル同居人は御曹司!?
翌朝

昨晩はよく眠れなかった上に、今朝は早く目が覚めてしまった。

すっかり寝不足だ。

今日は土曜日だったからよかったけど。

洗濯とトイレ掃除を終わらせて、リビングに掃除機を掛けていると奏さんがのっそり姿を表した。

麻の白いシャツにネイビーのコットンパンツを合わせて爽やかな装いだ。

昨日の酔っ払いと同じ人物とは思えない。

「おい」

不機嫌そうに声を掛けるが無視だ。

「掃除機は後にしろ。頭に響く」

…しかし、涼しい顔をしているのは外見だけで中身はどうやら二日酔いらしい。

私は掃除機のスイッチを弱から強に切り替える。

掃除機は一層大きな唸り声をあげ、張り切ってゴミを吸い取って行く。

奏さんは不愉快さを隠そうともせずに舌打ちする。

ふん、ざまあみろ。

ささやかな抵抗だ。

奏さんはキッチンの冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出した。

グラスに注ぐと一気に飲み干す。

そのままペットボトルごと持ってリビングへ移動するとドサリとソファーに腰を下ろす。

「まだ居座る気か?てっきり出て行くのかと思ったぞ」

私は掃除機のスイッチを切って奏さんに向き直る。
< 81 / 328 >

この作品をシェア

pagetop