イジワル同居人は御曹司!?
「うちは外資なのでパートナーがいる人は同伴で参加される方が多いんですよ」

小泉青年はチラリと私に視線を向ける。

以前、会社の前で2人でいる所を見られたので、反応を伺っているようだ。

「羽瀬さんに同伴者がいなかったので、社内の女性達が取り囲んでしこたま飲ませてましたよ」

小泉青年は思い出したようにクスリと笑う。

金曜日に泥酔して帰宅した奏さんを思い出す。

だからあんな酔っ払ってたのか。

「ほら普段は羽瀬さんって隙がないから、お酒の力を借りてお近づきになろうと思ったんでしょうね。女同士潰し合いのバトルロワイヤルが繰り広げられていました」

小泉青年は、あれは怖かったな、と心の声をボソリと漏らす。

そしてその女子のバトルロワイヤルを制した猛者があの晩うちに乗り込んで来たグラマラス女子に違いない。

自信たっぷりに微笑んだ表情を思い出す。

なんか納得。強そうだもんな。生物として。

へえ、大変でしたね、なんて言いながら私は誤魔化すように書類に会社名と部署名を記入していく。

「羽瀬さんは同伴者に誰かを誘う予定だって聞いてたんですけど、お断りされちゃったんですかね」

小泉青年は黒目がちな子犬のような目で私の顔を覗き込む。

うん、これはこれで可愛い。

…そうじゃなくて
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