イジワル同居人は御曹司!?
「どうでしょう？羽瀬さんは沢山ガールフレンズがいるみたいですから。少なくとも私は誘われませんでした」

シャチハタをポンと書面に着くと「どうぞ」と言って小泉青年に渡した。

ありがとうございます、と言って小泉青年はにっこり笑って受け取る。

「断られた訳じゃなく、誘えなかったんですね。以外と奥手なんだなぁ、羽瀬さんって」

小泉青年はクスリと笑いながら、鞄に書面とUSBをゴソゴソとしまい込む。

「今度は護ってあげてくださいね」

「何で私が？」

思わず素で言い返してしまった。

「藤田さんが一番適任かと思ったので」

はぁ？と私は腑抜けた返事をする。

超仲の悪い私にそんなお願いをするなんて、小泉青年は仕事は優秀かもしれないけど色恋沙汰には疎いのかもしれない。

「適任かどうかはともかく、そんなお願いをするなんて小泉さんは上司想いなんですね」

まさか！と言って小泉青年は大きく目を見張る。

「今週は機嫌が悪くて私が大変なんです」

小泉青年は眉根を寄せて肩を竦める。

あ、なるほど。そりゃ大変だ。

では、またミーティングで、と言って小泉青年は爽やかな笑顔で帰って言った。

彼もまた色々気苦労が多いようだ。
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