イジワル同居人は御曹司!?
デスクに戻ると、作成途中の資料に取り掛かる。

キーボードで数字を打ちながら、木曜日の夜に奏さんが部屋に来たのを思い出す。

その日の朝も何か言いたそうにしてたっけ。

だけど口論の後だったから私は無視した。

もしかして、あの時パーティーに誘おうとしてた?

「っしゃ!」

データが完成して思わず歓声を上げる。

時計を見ると既に19:00を指していた。

奏さんが帰る前に夕飯の用意をしておかないと。

冷戦状態でも仕事はきちんとこなさなければならない。

私は慌ててデスクを片付ける。

「ゆうぽん、私もう帰るね」

ふぁい、とゆうぽんは緩い返事をする。

お疲れ、と挨拶をしながら重い足取りでオフィスを後にする。
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