きみの愛なら疑わない

淡々と語る浅野さんの胸に顔を押し付けた。

「それでも、ごめんなさい……」

「あの男が式に乗り込んできても、美麗は僕の手を放さないこともできたんだ。でも放した……」

そう。あの時の美麗さんは匠のもとに迷わずに行った。

「もう苦しむ必要はない。君を責めるのは間違ってた。ごめん」

涙が溢れた。ずっと許されないと思っていたから。

「僕に悪いと思うのなら、もう僕から離れないでほしい」

「はい……私は絶対に浅野さんから離れない」

二人で過ごしてきた時間は幸せだったから。ずっとこれからも変わらずそばにいたい。

「浅野さんを絶対に悲しませない」

「うん、信じるよ。今度こそ」

浅野さんの手が私の頭を再び撫で、髪を指ですいた。そのくすぐったさに頭を更に浅野さんにグリグリと押し付けた。

「浅野さんからもちゃんと言ってくれないと、私はまだ他の女の子と同じになっちゃいます」

子供っぽく拗ねてみせると浅野さんの腕が私の体を引き上げて、浅野さんの体を跨ぐ格好になった。見下ろした浅野さんの顔は熱のせいなのか緊張のせいなのか赤く、荒い呼吸で私まで緊張してきた。

「足立さんを愛してる」

「愛ですか?」

「愛だよ」

『好き』じゃなくて『愛してる』の言葉に胸が締め付けられる。やっとこの人が誰かを愛することができたんだって。それが私で本当に嬉しい。

「おいで」

優しい声で私を呼ぶから、前屈みになって浅野さんの顔に近づいて唇を重ねた。
熱を持った唇に角度を変えて何度も口づける。
浅野さんが苦しそうに息を吐いた頃にやっと風邪を引いていることを思い出した。そうして二人で見つめ合って笑った。

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