きみの愛なら疑わない
「ごめんなさい……ご心配をおかけしました」
「美紗さんが謝ることはありません。悪いのは姉ですから。美紗さん、慶太さん、本当にすいません」
優磨くんは私と浅野さんに向かって頭を下げた。
こうして何度優磨くんは浅野さんに謝ってきたのだろう。
「優磨くんが謝ることじゃないよ」
「でも身内の問題に二人を巻き込んでしまいました……」
「いいの。私だって美麗さんを傷つけてきたんだから」
これで両成敗だ。もうお互いに傷つけ合うことがないのなら、それに越したことはない。
「いずれ両親が謝罪したいと言っていました。落ち着いたら文句の一つでも言ってやってください」
「そんな……文句なんて……」
「姉を部屋に閉じ込めたことに安心して、目を離した隙に逃げられたことにもしばらく気づかなかったんです。うちの親にも過失がありますから」
閉じ込めるだなんて美麗さんには無理な話だ。そんな美麗さんのご両親はどんな人なのだろう。
「あ! そういえばお母さんに連絡しないと。私こんなんじゃしばらく入院ですか?」
「大丈夫です。美紗さんのお母さんは今着替えを取りに行ってます。でも入院は数日だそうですよ。ヒビだって少し入ったくらいで、それ以外はどこにも異常はないそうです」
「よかった……」
「本当に驚きました。サイレンの音がすごいんで店長に言われて見に行ったら早峰フーズの前で美紗さんが救急車に乗せられてるところで、そばには姉もいたし……」
「美麗さんは怪我してない?」
「はい、かすり傷程度です。泣いてはいましたけど。救急車に乗せられる美紗さんに何度も謝ってました」
気絶して記憶がないけれど、美麗さんに怪我がなくて私も命があったことは奇跡だ。