きみの愛なら疑わない
#6 永遠の愛を信じる男
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事故から一週間もしないうちに美麗さんのご両親から謝罪があった。
初めは病院や私の家まで来て謝りたいと言っていたのを丁重にお断りして、後日こちらから城藤家に伺うことで話がまとまった。母には事故の経緯を詳しく言っていないので今更心配をかけたくなかったから。

私と接触した車の運転者へも金にもの言わせて事故を早期に収束させたようだ。私の治療費も母に知られることなく城藤が負担してくれた。
結局どこまでもお金の力で解決させるところは呆れを通り越して感心してしまう。





浅野さんに付き添ってもらって訪れた城藤邸は、もう坪数も分からないほど広い敷地で、門から数十メートル歩いてやっと玄関にたどり着ける。
松葉杖を使わなくてもなんとか歩けるようになったけれどまだ少し足に痛みがあって、浅野さんに横にいて支えてもらわなければ玄関までの砂利道は歩きにくかった。

迎えてくれた優磨くんに応接室に通されると、ご両親に土下座されてしまった。
美麗さんのご両親だからさぞ横柄な人だと思っていたけれど、予想していたよりもずっと普通な人たちだった。どうしてこのご両親が育てたというのに美麗さんはああなってしまったのだろう。
優磨くんの礼儀正しく品のあるところはご両親によく似ている。この家では美麗さんが異質に思えるほどに。

元々浅野さんとの結婚を許したのも美麗さんがまともになることを期待してのことだったらしい。結局はうまくいかなかったのだけれど。

浅野さんはご両親の前で改めて美麗さんが私と浅野さんに二度と関わらないようにと約束させた。
美麗さんとの結婚が破談になった時にも、もう関わらないとお互いに話し合いをしたそうだ。それが美麗さんが戻ってきたことによって有耶無耶になってしまったのだ。

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