きみの愛なら疑わない
「それドラマの見すぎだから。そんな犯罪の匂いなんてしないよ。城藤美麗のパーティーは未成年は完全NGで免許証とかの証明書がないと入れないの」
妙なところはしっかりしている。奇行を咎められないように法律の範囲内でうまくやっているのかもしれない。
「大物歌手とか来たりしちゃうかもしれないし、他の大学のイケメンもいっぱいいそうじゃん!」
友人はいつまでも興奮している。
「それこそドラマの見すぎだよ。いくらなんでも城藤美麗が毎回芸能人を呼ぶなんて出来るわけないって」
「そうだとしても行く価値ありだよ。成人してれば誰でも参加OKだから! まだ美紗しか二十歳になってないし、お願い!」
土下座までしそうな友人の勢いに負けてパーティーについていくことをつい了承してしまった。バイトのシフトを変更してもらわなければ。服は何を着ていけばいいんだろう……。
大学に入学して一番に覚えたことは城藤美麗の顔と名前だった。モデルかと思うほどの高い身長と整った顔。その美貌とお金を持つ彼女の周りには常に人が溢れていた。もちろん彼女のステータスに集る人間ばかりではなくアンチも多かった。私もその一人。
小さい頃に両親が離婚して私を一人で育ててくれた母に負担をかけないよう、高校に進学するのと同時にアルバイトも始め、少ない時間を駆使して勉強し、奨学金でこの有名大学に入ることが出来た。お金を振りかざして入学したとの噂もある城藤美麗を私は嫌悪していた。
「呆れた……」
大学から少し離れた駐車場にパーティーの参加者を迎えに来たのはリムジンが数台。それに乗ること数十分で会場のバーに着いた。入り口でスーツを着たスタッフに免許証を見せたらあとは好きなだけ飲んで踊ってバカになるのだ。