花色のキミに愛し方を教えてあげる。
「ねぇ^ ^」

できるだけ笑顔を保とうと思う

「何でしょうか」



「“私なんか”ってなに?」
「文字通りですが」


彼女は“押す”という単語は知っていても
“引く”という単語は知らないらしい。

「僕は別に君が変だとは思わないよ?」

そう言った途端、
星川は心底驚いた顔をした


「……賢いのに頭残念ですね先輩」


「酷いなぁ^ ^」
星川が言い方を緩めたので
僕もここまでにすることにする。

多分、彼女の中で
抑えが利かなかったのかもしれない

別に僕は構わないのだけど


そこまで僕を心許してるとは思えない



彼女はまた絵を描き始めた
図鑑には柊の写真があったので
どうやら今日は柊の絵を描くようだ

僕の苗字だけあって
ほんの少し照れ臭い


昨日は桜、今回は柊と
多分昨日のその前も、その前の前も
ずっと描き続けてきたんだろう


そのいつまでも続く根性と
ルーズリーフの絵の画力は

本当に見上げたものだと思う




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