花色のキミに愛し方を教えてあげる。
カタッ
僕の足音が響くが彼女は振り向こうとはしない。
加藤の他にも見にくる奴いるんだなきっと。
『お疲れ様』と言いたくなる。
見せ物として扱われることに。
けど、疑問だ。
この図書室は特に凄いものが置いてあるわけではない。
なのに何故、彼女はこの図書室にこだわるのか…。
スマホを手に取り、歩いた方向へ戻る。
その途端
『フワッ』
空いていた窓から風が吹き、すぐそこにある桜の木から桜の花びらが舞い散る。
その時初めて彼女が顔を上げ、桜の方を見た。
「っ…」
可愛い
というより
【綺麗】
の方が似合う。
人の顔を見てそんな事を思うのは初めてだった。
彼女の顔に桜は舞うから
余計にその言葉が頭にこびりつく
【綺麗】なんて僕には合わないと思うんだけどな。
彼女は窓の外から僕へ目線を変えた。
まるで今気づいたかのような顔だったが、
不思議と驚いたようではなかった。