鉢植右から3番目
あらあ~久しぶりね~!!
と3オクターブくらい上げた声で近況を話し合ったらしい。最初は楽しかったの、と言っていた。だけどその内、親友と母以外のほかの面々が話す孫の話を屈辱に耐えながら聞く羽目になったんだってよ。
お互いに黙って聞くだけだよな、と気付いた彼女達は、お宅はどーお?と二人で話し出した。
うちの娘は不倫をした挙句にボロボロになって会社を辞めるはめになって、それからは恋どころか仕事も全くうまくいかないのよ~・・・などと言ったに違いない。
そして相手も、うちの息子は特に恋愛に興味もないみたいで、真面目に仕事はいくけどそれも楽しんでるようには見えないし、このままだと一生独身ね・・・と話した、らしい。
その時、夕方の4時。
ホテルのティールームに光輝く春の夕日が差し込んで辺りは美しい光景になったんだって。
そして、何故か、二人の母は同時に神の啓示を聞いた。
君達二人の子供は結婚して幸せになるだろうって。
そして、それに伴って、いき遅れの娘と息子の体面は保たれ、自分達も世間様に顔向けができ、家から子供を追っ払え、息子の世話と娘の保護から解放され、私達は何と親戚になれるし、もしかしたら60代の間に孫の顔も見れるかもしれない、万事がうまくいく!!と気付いたんだと。
見ず知らずの人と出会うお見合いならいざしらず、親同士が元々親友でしかも地域が同じだったため、子供達も小・中・高と同じ学校だったし、知人であるってことが有利に働くはずだと思い込んだのだ。
・・・・まったくもって、余計なお世話だ。