鉢植右から3番目
それともそれとも!もしかしてすぐに忘れられていて、なかったことにされているかも!・・・・それも、じゅーうぶんに、有り得る・・・。ああ、そうだったらマジで泣ける。
一人で勝手にがっくりして、私は両親の住む家まで向かう。
電車の中は朝も早くと言うのに家族連れが多かった。
・・・そっかあ~・・・皆、お盆で帰省かなあ~・・・。それか、家族旅行。子供達のキラキラした笑顔と弾ける笑い声で電車は騒がしかった。
いつもなら気にならないそんな声も、今日の私には眩しいぜ!もう、ヤツとの子供は期待出来そうにないしな。あの調子じゃねぇ。
どんよりとした私とは裏腹に見事な夏晴れ快晴の青空の下を、私は一人で家に帰った。
「何であんた一人なのよ」
当たり前だけど、開口一番母親が言ったのはそれだった。
・・・お帰り、があってもいいと思うのですが。
私は顔も上げずに後ろむきに手だけをひらひらと振って言った。
「ヤツは繁忙期でも私は休み。だから主婦は休業」
「何言ってんの、あんた」
忙しいダンナさんをそこで支えてこその主婦でしょうが!と主婦歴40年の母が後ろで怒鳴っていたけど、無視した。
そして元自分の部屋に入ったら、そこは綺麗に片付けられていて、既に私の部屋ではなくなっていた。母親の衣服の詰まった箪笥や鏡台なんかが引越ししてきていた。娘が無事に嫁いだと思って家の片付けもしたのだろう。
・・・・くっそう・・・結婚とはこんなに恨めしいものだったのか。