鉢植右から3番目
「あちらの大地君は明日休みらしいのよ。あんたも確か、歯医者は休みだったわよね?夜の仕事までには終われるし・・・。あ、でも結婚したら居酒屋は辞めなさいね、パートで昼だけ働けばいいわ」
「・・・じゃなくてね。ちょっと待ってよ。私が、何をするって?」
「結婚」
「誰と?」
「漆原大地君」
「・・・って誰」
もう、何言ってんのよ~!!と母親は私の背中をバシンと叩いた。その勢いでよろめいてシンクに腰をぶつけた私だった。
「小学校から高校までずっと同じ学校だったでしょうが!」
・・・・しらねーよ。いたか?そんなやつ。
私が首を捻っていたころ、漆原家でもほとんど同じことが起きていて、ヤツもそんな女いたっけ?と思っていたと後でわかった。
どっちも、その夜に卒業写真を確かめた。
そしてどっちも、ああ~・・・とゆる~い合点をしたのだった。
居た居た、確かに、こんなやつ(子)いた。一度話したことがあるかないかだけど、って。
卒業写真を見て思い出したけど、ヤツは確か、3年生の時に生徒会の会長をしてた・・・と思う。めちゃくちゃ存在感のある副会長の影で淡々と立っている姿をぼんやりと思い出した。実際のところ、ほとんど記憶はない。
私はコップを流しにつけて、深呼吸をしてから母親を振り返った。