鉢植右から3番目


 何何?と思いながらも、ちょっとわくわくしながら家に飛び込んだ。

 おお~、なんだろ、面倒臭がりのヤツが、私の知らない間に何をしたんだ!一人でごそごそと何かしている姿を想像してちょっと笑ってしまった。

 さくさくと居間の大きな本棚(ヤツ所有)に近づいて、一番上右端の本を背伸びで取る。

 推理小説のようだった。ふーん?と思って、推理小説にさほど興味のない私はそれをパラパラとめくる。

 するとまた小さなカードがひらりと落ちた。

 ひっくり返すと同じ文字。

『ダイニングテーブルの裏』

 あはははは、何よ、おもしろーい。一人でケタケタ笑いながら今度はテーブルに飛んでいく。

 毎日使っているこのテーブルにも何と秘密があったのか!

 膝を床について覗き込むと、おお、確かにカードが貼り付けられているぞ!

「一体どんな趣味よ・・・実は凝り性??」

 呟きながらぺりっとはがしてすぐに裏を読んだ。

『俺の部屋の箪笥一番上の右の引き出し』

 ―――――・・・俺の部屋。

 振り返って、ヤツが不在で閉まっているドアを見詰めた。

 えーっと・・・入っていいのかしら。ってか、書いてあるんだから、入っていいのよね、多分。

 緊張して、主は居ないのに一応ノックする。

 洗濯物を畳んでもそれは居間に置いておくから、私がやつの部屋に入ることなんてない。あの箪笥を買う時にサイズを測るために入った時以来だ。


< 126 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop