鉢植右から3番目


 背の高い、大きな体に似合わない細い文字。ブルーブラックのペンで書かれたその言葉が私の視界でうっすらと滲む。

「・・・まーじで」

 最初のカード、汚れてた。

 いつからあったのだろう。いつまでも私が気付かないから、私の鍵隠したのかな。

 あの男でもイラつくことってあるんだなあ~・・・。

 鍵はもうって・・・一度しか失くしてないじゃん。

「ふふふ・・・」

 唇からは笑いが漏れて、私はカードを手にしてずるずると座り込む。

 文字を指でなぞる。

 妻へ。

「ふふっ・・・」

 座り込んで笑っていた。時々涙声になったけど、小さくずっと笑っていた。

 カーテンを締め切った薄暗い部屋の中だったけど、私の見ていた景色はキラキラと光って薄いシルバーのクリスタルが揺れているようだった。


 こんな素敵な宝探し。

 あの面倒臭がり屋が、一体どんな表情で―――――


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