鉢植右から3番目
ヤツはベッドに腰掛ける。タオルケットの外へ出した私の指を見ているのが判った。
珍しく、口元を緩めて目も細める。
・・・・おやまあ、笑ってる、この人。
私はそれをぼんやりと眺める。
自分の仕掛けがようやくちゃんと発動したのを確かめて、どういう気持ちなんだろう。聞いてみたいけど・・・答えは貰えなさそうだな~・・・・。
ヤツが低い声で言った。
「・・・空いてる。でも、先に・・・」
「はい?」
「新婚初夜を経験しようかと」
私は両目を瞬いた。
―――――――嘘。本当?これは幻聴?まだ夢の中?いや、でも、確かに聞いた。私、確かに今・・・・
「――――――――・・・面倒臭くないの?」
思わず、ぽろりと口から言葉が零れた。
「うん」
「本当に?」
「本当に」
「全然?」
「全然」
「ちっとも?」
「ちっとも。――――――何、笑ってんの」
私は腹の底からこみ上げる笑いを噛み殺すのに必死になっていた。