鉢植右から3番目


 多い荷物を足元に置いてじゃあまたね、と言葉を出す彼女につい、言葉を投げていた。

「あの――――――兼田、今度は晩ご飯に行かないか?」

 え?という顔をして、兼田は目を見開いた。

 驚いている。

 そりゃあそうか・・・俺だって、驚いている。

 でも今、まさに、今、彼女に恋をしかけているのかもしれない。そう思った。

 だから、言っておかなければ――――――――

 いきなりドキドキとうるさくなった心臓を無視して、俺は彼女に近寄る。

「・・・今、彼氏がいるのか?」

 彼女は困惑した表情のままで、それでも質問には答えてくれる。

「いないけど・・・」

 いない?よしよし。俺にも彼女はいない。

 ここ最近は仕事に殺されていて、笑うことすら忘れていた。今日兼田に久しぶりに会って、本当に心から笑ったんだった。

 カラカラだった心が潤いだしたのが判った。

 だから、逃したくない。

 無意識に拳をぎゅっと握って、言った。


「じゃあ飯、行かないか?俺はもう一度兼田に会いたい」



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