鉢植右から3番目
「それって動物として間違ってると思うけど」
「ほっとけ」
私はついじっくりと目の前のよく判らない男を眺める。
「・・・確か、漆原君て高校の生徒会の会長してたよね?あの頃は面倒臭がりじゃあなかったの?」
不思議でたまらん。どうしてこんな男が伝統という意味では名前のある高校の生徒会長を勤められたのだ。
うん?と少し目を細めて、考えるような顔をした。そしてどうでもよさそうに店の中を見回しながら言った。
「・・・クラスのヤツに押し付けられて、断るのも面倒だったから受けただけ」
―――――――ああそうかよ。
呆れたけど、納得した。面倒臭いがスタンスなのね、あなたは。
で、結局、即答は出来ないと私が言って、電話番号を交換してその時はわかれたのだ。
昼下がり、私はぼーっと歩きながら色々なことを考えた。
そして、自分の中で賭けをすることにした。
今から24時間で、誰かに一度でも「ご結婚は?」と聞かれたら、この話を受けようと。
ここ最近は単調な毎日で聞いてないその疑問文を。
もうその憎ったらしい余計なお世話ワーズを聞いてしまったら、一人で戦うのは終わりにしようって、思ったのだ。
キッと前方を見詰めて歩き出す。