鉢植右から3番目
3、同居の始まり。
朝目が覚めて、ここがどこだか判らなかった。
・・・えーっと・・・どこだ?
枕の上でぐるりと頭を回す。ううん?あの旅行鞄は確かに私のだ。それは間違いない。ってことは、私は今旅行中?
毛布の中で、いやいや、そんなはずはないと首を振る。
落ち着け、私。ゆっくり考えるのよ、ゆっくり。ええと・・・昨日の晩ご飯は何食べたんだっけ?
「・・・って、バカじゃないの、私」
本日一発目の一言で自分にダメ出しをして、起き上がった。
白い壁の部屋を見回す。
――――――思い出した。一人で頷く。
結婚したんだ、私は。・・・というか、紙に署名して判子を押した。
そしてここは、その新婚の家で、私個人の部屋。昨日、実家を言葉通りに追い出されて旅行鞄一つでこの部屋に引っ越してきたんだった。
だから隣の部屋には―――――――夫という役職名の男が寝ているはず。
「・・・変な感じ」
恋愛結婚でないから当たり前かもだけど、夫という響きにバリバリで違和感を感じる。
うひゃー、マジで、有り得ない~ってもんである。大体、何て呼べばいいのだ、やつのことを。昨日今日初めて会ったみたいなもんの男のことを。
よいせ、と声を出して立ち上がる。