鉢植右から3番目


「・・・他人。まあ、言いたいことは判るけど。でもそうしないと振り込むのとか引き出すのとか俺忘れると思う。それじゃ困るだろ?」

「困る」

「じゃ、管理宜しく」

 ・・・あれ?私がするって決まっちゃった?ばたばたと瞬きをした。

 え?どこからヤツ主導になった?あれ?

 目の前でご飯を食べる男を、私は若干見直した。この人、奥が深いかも、と思って。

 深夜の晩ご飯を食べ終わるとヤツは自分で食器を流しに運び、そのまま通帳と印鑑とキャッシュカードを一揃え私の前に置き、お風呂入るぞ、と言って行ってしまった。

 私は、はーい、と後ろから言った。

 風呂は沸かしてない。ヤツが沸かすんだろうな、きっと。さっき洗面所見てたついでに中も覗いただろうしな。

 私も食器を流しに運び、もう片付けは明日で、と決めて、今日用意したばかりの大きめのホワイトボードを壁に貼り付けた。

 そして、専用のマジックで書く。

「都:4月4日の予定」

 バイトの時間と連絡先も書いておいた。ま、初めだし。

 昨日決めた事項をヤツが覚えていれば、明日のご飯の有無をここにかいてくれるはず。

 台所の電気を消して、伸びをした。

 お風呂も明日にしよ。手と顔だけ洗面所で洗って。

 やっと、一日が終わった。


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