鉢植右から3番目
必死でヤツのお母さんが言うことをメモした。手が震えて酷い字になった。日時、持っていくもの、心構え。彼にその日は空けておくように言う事。はいはい、お供えは用意してくださるんですね、ありがとうございます、はい。
毎日快適かどうかの確認をして、じゃあね~と華やかな声でヤツの母親は電話を切った。
私はずるずると座り込む。
・・・・マジで。嫌なんだけど、漆原家の親戚一同に会うのなんて。
愛のない結婚のうんざり、二個目はこれだわ。
あーあ。
8時過ぎに帰って来たヤツの反応は、いつもの通り淡白だった。
「・・・ふーん」
私はじろりと前に座ってご飯を食べる男を睨む。
「ふーんじゃないでしょうが。お披露目なんて嫌よ~」
ぐだぐだと言いながら本日のメニュー、ロールキャベツを口に突っ込む。
ヤツはお茶を飲みながら顔を上げて、首を傾げた。
「・・・行かなきゃいいんじゃないか?」
「そんなわけにいくかい!!」
アホか、あんたは!机をバンと叩く。どこの世界に顔を見せたくないからと法事をさぼる息子夫婦がいるのだ!それが通じる家出身ならわざわざ葉書で案内なんか出さねーんだよ!