鉢植右から3番目
その一瞬の視線の合致にメッセージと呪いを込める。
―――――――おい、おめえの親戚だろ!聞こえてんなら何とかしろよっ!!
だけど使えない、かつ、やる気のないダレ男よりも反応が早かったのは、やはりヤツの母親だった。
ぐいっと割り込んできて、口元に笑みを浮かべたまま目は笑わずに、いきなり会話に参加した。
「うちの息子夫婦は仲がいいのよ、見てて妬けるくらいよ。だからもう少し二人の時間を楽しみたいんじゃないかしら~。そう言えば、あなたのとこの彩香ちゃんは、ご結婚は、まだ?もうそろそろ三十路だったわよね?」
おばさまの一人が固まった。ほう、あなたのところは未婚の娘さんがいらっしゃるのね。引きつった女性の顔を見ながら心の中で呟いた。
ヤツの母親は続ける。
「そうだ、祐介君は、結局娘さんを引き取ったの?お嫁さんが家を出て、そのまま離婚だなんて大変だったわね~」
また別のおばさまが固まった。ほおおう、あなたのところは離婚した息子さんがいらっしゃるのね。また自分の中で呟く。
私は驚きを噛み殺して表情を変えない努力をした。
――――――すごいぜ、冴子母ちゃん。やっるー!
自分のとこの嫁を庇うだけでなく、恐らく今までも色々言われていたのだろう鬱憤を晴らしに笑顔のまま言葉を放つ、義理の母を眺めた。
「お台所、行ってきますね」
私は会釈をして立ち上がる。判ったわ、と振り仰いだ義理の母がにっこりと笑った。