鉢植右から3番目
彼女は頷いた。
「そうですよね、女って大変。あたし自信ないな~、出来るかな、こんなこと」
暫く笑って話をしていた。お茶を貰って、落ち着いて。
するとそこにひょっこりとヤツの父親が現れた。
「都さん、疲れただろう」
「あらお義父さん。大丈夫ですよ~」
振り返ってそう言うと、困ったような微笑をして、片手を上げた。
「嫌な思いをしてなければいいんだけど。もうそろそろ終わるし、ちょっと外へ散歩でもしてきたらどうかな。近くに川原があるんだよ」
ダレ男、いい親もってるじゃん。どうしたらあんなに面倒臭がりの人間が出来上がるんだ?私はありがとうございます、と返す。だけど、出てしまっていいんだろうか。散歩には是非行きたいが。
椅子に座って従妹さんが頷いた。
「そうしといでよ、都さん。おばちゃんたちに何か言われたんなら、冴子おばさんが今頃きっと火を吹きまくってるはずだから。おじさんはそれを見せたくないんでしょ」
ヤツの父親が苦笑しているから、そうなんだろうな。
では、お言葉に甘えて、と立ち上がると、川原はあっちだよ~と従妹さんが玄関まで送ってくれた。
5月の爽やかな風を全身に受けながら、夕方の知らない町をゆっくりと歩いた。
・・・はあ、疲れた。でも大きな失敗はしなかったようだし、良かった良かった。
やり遂げた自分に満足していた。