鉢植右から3番目
缶コーヒーを膝のところで揺らしながら、そうだ、と私は口を開く。
「君、お酒も飲むんだね。今もあまり酔ってるようには見えないし、実は強いの?」
「・・・酒飲みの家に生まれたから血筋的にも飲めるし、二日酔いになったことはない。だけど特に好きではないから飲まない」
―――――――強いじゃん、それ。二日酔いになったことないとか羨ましいぞ。不倫中、何かと凹んでよくぐでんぐでんだった過去の自分を思い出してしまった。
割れそうな頭を抱えながら転がり、もう二度と酒なんか口にするか!とその度に誓ったんだった。その誓いは大体2日で破られたけど。
ぼーっと後ろで座る男を振り返る。
「晩ご飯の時、いるなら出すよ?」
「必要ない」
・・・そうですか。相変わらずかったるそうないい方だわ、こいつ。
ううー・・・と声が聞こえて、見ると手で顔を擦っていた。何してんの、この人、と見ていると、ぼそっと呟きが聞こえた。
「・・・今日、悪かった。嫌なことを沢山いわれたはずで、どうしましょうって親が気にしていた」
親かい。おめえじゃないんだな。と顔を顰めかけて、ハッとする。
・・・いや、別にこいつに申し訳ないだなんて思って貰わなくてもいいはずでしょうが、私。
私の家に行くと、ヤツだって娘婿として似たような扱いを受けるのだ。まあ男性のほうがあんないびられ方をするとは思わないけど、それでも多少居心地の悪い思いはするだろう。
だから、お互い様なのに。