鉢植右から3番目
・・・ま、そういうしかないよね。でも買ってないんだ、と正直には言わなかったんだ。私はそれに、ちょっと驚いた。こいつは興味ないから買ってないとかいいそうだと思ってた。
ちらりと私を見て言う。
「要る?指輪」
「いらない」
即答した。
そしてゆっくりと苦笑する。
「・・・本当の結婚なら、やっぱり欲しいけど。私達は同居人なんでしょ?」
揺れる前髪の間からこっちをみていたけど、何を考えているのかは判らなかった。
「誤魔化す必要があるときは、自分のファッションリング嵌めとくわ」
「うん」
そのまましばらく風に吹かれていて、夕焼けが本格的にやってきたころ、腰をあげた。
そして、荷物をとりに人気のなくなった親戚の大きな家に二人で戻った。
子供に、指輪か!
ああ・・・・結婚するって、いろんなことしなきゃなんだなあ!
「お父さんと大地は食べっ放しだろうけど、都ちゃんと私は働き通しだったのよ。軽く作るから、食べて行って~」
とヤツのお母さんに言われ、正直、人に作って貰うご飯は有難いので、ヤツには確認もせずに、はい!ありがとうございます!と元気に頷いた。