鉢植右から3番目
「お待たせしました」
「ありがとうございまーす」
今日の日替わりはパスタか~と嬉しく眺めていると、呼吸をする音がして、奈緒がキッと顔を上げた。
「初めから、話してちょうだい」
ぱちくりとラブリーに瞬きをしてみせた。イメージはペコちゃんだ。ベロもだしとくか?だけど彼女の真剣な顔は崩れなかったから、ため息をついてランチを指差す。
「・・・オッケー。でも、これ食べてからね」
「よし!」
というわけで、女二人で無言のままガツガツ食べた。
久しぶりのこの店のご飯はやっぱり美味しくて、美形の店長さんが拝める上に飯までうまいと女も男もいつでも満員御礼のカフェだ。タイミングよくて座れてよかった。
喋りな奈緒が無言で平らげたのは、私の話を早く聞きたかったのもあるけど、純粋にご飯が美味しかったかららしい。
「近くにくるときには絶対ここにしよ」
そう呟いて、レジのところにある店のカードをチェックしていた。
私がランチの後のコーヒーを頼むのを待って、ぐいと身を乗り出す。
「さあ、話して都!」
「うん。えーっとね、私が生まれたのはこの隣の町で・・・」
コーンと手刀で額を強打された。その後ほっぺを掴まれる。・・・いひゃい。ロンドン帰り、短気だぜ。
「誰があんたのヒストリーの最初からって言ってるのよ!漆原よ漆原!ヤツとこうなった最初から話せって言ってんの!」