鉢植右から3番目


「委員会が一緒だったり、席が隣だったりしたからいつでも存在はあった。それに、高校の時は同じクラスの女の子が漆原に惚れて、相談を受けたこともある」

「へえ」

 ちょっと驚いた。やつとて別にブサイクじゃないし、背も高いし非社交的だが無愛想ではない。そりゃあ恋愛感情を持つ子がいたって不思議ではないけど、一体どの辺に惚れたのだ、と聞いてみたい。

「誰誰?」

「佐伯瞳って覚えてる?眼鏡、三つ編み」

「ああ、はいはい。へええ~、こう言っちゃなんだけど、ヤツの一体どこに惚れたのだ」

「・・・あんた、妻なんでしょ?」

「いや、同居人」

 奈緒はまた盛大なため息をついた。これこれ、そんなにしてたら幸せが逃げていくぞ~。

 いや、友達の幸福の心配をしている場合でなかった。私は聞く。

「で?その反応は何なのよ?ただ自分の友達が元クラスメイトと結婚したってことに驚いてる反応じゃなかったでしょう、さっきの」

 奈緒は思い出している顔をしていた。そして、ゆっくりと言った。

「瞳は告白したの。それで、ヤツは断ったらしいけど、特に理由がなかった。納得出来なかった彼女は食い下がったのよ、振るならちゃんと振って欲しいって。どうしてダメなのって」

「うん」

「すると彼はね――――――」

 声を潜める奈緒に近づく。何何?何と言って断ったのだ!?


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