鉢植右から3番目
「・・・ただ、面倒臭いからって言ったらしいのよ」
力が抜けて、テーブルに額を打ってしまった。見事なゴンという音が出て、イケメンの店員さんが飛んでくる。
「大丈夫ですか!?あの・・・貧血とか・・・」
「いえいえ、大丈夫です、すみません。どうぞお気になさらず」
慌てて頭を上げる。見ると、周囲の視線を一身に受けていて恥かしかった。今日はやたらと顔面に衝撃がある日だな・・・。
前では奈緒が呆れた顔をしている。私はおでこを撫でながら、ぶーぶーと文句を垂れた。
「何よ、それじゃあ普通じゃん。真剣に聞いて損した」
「損って何よう!可哀想でしょ!?あんまりじゃない?好きですって言った相手に面倒臭いから付き合えないなんて言われてみなさいよ!」
―――――――確かに、凹むかも・・・。
でもヤツはそう言いそうだよな。やつを好きになるってことは、そこも含めて好きにならないとダメってことだよね。
「・・・仕方ないんじゃないの?あの男はそういう性格なのよ。確かに凄い面倒臭がりだし。女抱くのも面倒臭いって自分で言ってたもん」
「え、嘘」
「マジで。契約結婚を持ち出したのはヤツの方で、部屋も別々っていうからエッチなくていいのかって確かめたもん、私」
水を飲んで、ふう、と息を吐き出す。
「そしたら面倒臭いからいいって言った」
「げー」