鉢植右から3番目


「だから、それは動物として間違ってるでしょ、って指摘はしといた」

「・・・すると?」

「ほっとけだってさ」

 本日最大の盛大なため息をついて呆れたままの変な顔をした奈緒は、私を凝視した。

「・・・都、本当に今のままでいいの?もう手続き上だけならさっさと離婚して、ちゃんと恋愛出来る男を捜しなさいよ。子供だって産みたいでしょ?」

 ―――――――また出た!永遠のテーマなんだな、これは。私はぐるんと目をまわした。

 肩をすくめて小さな声で話す。

「・・・そこまで子供が欲しいわけじゃないけど・・・今の生活は居心地がいいし、お互いに干渉しないのも気に入ってる。それに段々ヤツの事が判ってきたし・・・」

 奈緒が片眉をひゅっと上げた。

「例えば?」

「ん?」

「何が判ったの?漆原のいいところって?」

 ううーん・・・そうだな。色々と思い出しながら言ってみる。

「・・・基本的には、優しい人間だと思う。ただ気が回りすぎるのがしんどいのか、敢えて色んな事を見ないようにしているって感じ。集中力も凄いし、自分のことだけでなく困ってたら手伝ってくれるし、ちゃんと話し相手にもなってくれて、押し付けがましくない」

 まあ、正しくは、困っている私が手を止めると家事が停滞するのが面倒臭いのでやる、ってことだろうけど。それは敢えて言うまい。


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