鉢植右から3番目


「お帰りー」

 私の声に顔を上げる。

 ・・・おいおい、何だ、今気付いたのかよ。歩きながらどこ見てんの、この人?

「・・・何してんの」

「君を待っていたのだよ!鍵がなくてさあ」

 カラリと明るく言ったのに、本日も無表情の漆原大地氏は少しだけ首を傾げた。

「鍵がない?どこかに忘れてきたのか?」

「多分ね。鞄の中に入ってないのよ」

「ポケットは?」

「生憎ポケットがないワンピースを着ているもので」

「・・・外出している間のいつ鍵を出す場面があったんだ?」

「本当にね!私も知りたいから答えがわかったら是非教えて」

 どうでもいいから早く開けてよ、と立ち上がると、ヤツはため息をついてポケットから出した鍵でドアを開けた。

「ありがと~」

「・・・合鍵、作って隠しとけば」

 おお!思い当たらなかった私はポンと手を打った。成る程。

 でもぐるりと周囲を見渡して、一体どこに?と考えていると、ヤツはスッと指を伸ばして鉢植を指差した。

「これの下。作って置いといて」


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