鉢植右から3番目


 激しく鳴り響く胸を片手で押さえながら私が固まっていると、バタンとドアが開いてまた驚いた。

「ひゃあ!?」

 パッと電気がついて、その眩しさに顔を顰める。

「・・・どうした?」

 光に慣れずに瞬きをしながら、ドアを途中まで開けてこっちを見る彼を見上げる。

 同じく照明に眩しそうに目を細めて、部屋着姿で立っていた。

 ・・・ああ、ビックリした~!!

 まだ激しい鼓動のせいか震える声で、何とか言った。

「・・・窓・・・ベランダ・・・ベランダに人、が、いて、入ってこようとしてた・・・」

 ヤツは無言でスタスタと部屋を横切り、ベランダから外に出て周囲を見回していた。

 そして部屋に戻り、ガラス戸を閉めてカーテンをあわせる。

 振り向いて私を見た。微かに眉間に皺を寄せていた。

「―――――無防備。開けっ放しで寝るなんて何考えてるんだ」

 ・・・仰る通りです。私はうな垂れる。まさかあのまま泣き疲れて眠ってしまうとは思わなかった。

 髪もぐちゃぐちゃで化粧は剥げて崩れ、スーツもしわしわだった。

 あーあ・・・。

 情けなくて俯いていると、ヤツが見下ろして言った。

「・・・ずっと居たのか?」

 そんな言葉が出るってことは、居ないと思ってたんだな。

 私はため息をついてから、何とか気持ちを奮い起こして少しだけ笑う。情けないこの格好。それに夜中に起こしてしまった、私の不注意で。


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