泥恋First Love
初恋
「first love」

そう書かれた本を手に取りパラパラと
音をたてながら表紙をめくる。

「ヒロト様…」

私高橋里香はその少女漫画の「ヒロト」
に恋をしている

「現実の男なんて性欲の塊だよ。」

誰もいない部屋
唯一私一人だけの空間。
誰にも邪魔されない私だけの空間でそう呟く。

年頃の男子なんて性欲の塊。

「付き合ってください」


その言葉は何度も言われたことがある。

自分で言うのも自惚れしてると思われるが私は顔は悪くは無いと思う。

でも、年頃の男なんてただ「彼女」って肩書きが欲しいだけ。
それでヤられて飽きたら捨てられる。
だから私は現実の男なんて嫌いだ。
ヒロト様にだけ想いを寄せてよう。

そう思ってた。


桜が舞う近所の公園を一人で歩く。
今日はいつもより暖かい。
今日は私がこれから3年間通う「高下高校」の入学式だ。

本当は食パンくわえて走ってそこの曲がり角でイケメンとぶつかって恋をするのだ。
でもここは現実の世界。もちろんヒロト様なんていない。

そんな事を考えながら歩いていたら

【高下高校】

そう書かれた表札の前に着く。

校門を通ると部活の勧誘の先輩たちが
わんさかいる

「そこの!!!かわいい後輩ちゃ~ん!バスケ部のマネージャーやらない??楽しいよー✩」

「野球部のマネージャーやりませんか??!一緒に甲子園目指しましょう!」

「サッカー部のマネージャーやらない??うちのサッカー部結構つよいよー!!」

「結構です。」

生憎私は部活などやるつもりはない。
中学の頃陸上部のエースだったのだが、
練習が口から良からぬものが出てくるほどキツかったので友達とも遊びにいけなかったので高校では部活に入らないで青春を楽しむ!と決めたのだ。

てこてこ歩いていると
【1-D】
私のクラスだ。
クラスは合格通知と共に手紙で知らされた。

ガラガラ

7時55分

8時35分着席なので
早く来てしまった。

時計から教室全体に目をうつすと
頬杖をつきながら本を読んでいる男子がいた

一番乗りじゃなかった…

そう思いながら
席に着こうと座席表をみると
その男子の隣の席だ

2人だけの教室で隣同士座るの気まずいな…

そう思いながら一応挨拶をしておく

「あ、おはよう。隣の席の高橋里香です よろしくね?」

あー。やっぱり気まずい。
なにこの沈黙。初日からありえない。

「…山上 淳…です。よろしく。」

なんだよボソボソ男のくせに!!!!!ってんんんん!?!?!?あ!?!?!?まって。ヒ、ヒロト様!?!
え!?!?!
山上淳、隣の席のこいつは私が想いを寄せているヒロト様にそっくりだったのだ。




後にこの男に想いを寄せたのを後悔することになるとも知らずに…
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