Smile
それぞれ弁当を広げると、いただきます、と言って食べ始めた。
「わぁ。澤本くんの卵焼き、おいしそう」
卵焼きを口に入れようとした瞬間、突然隣から声を掛けられて、俺はびっくりして箸を落としてしまった。
俺があわてて落ちた箸と卵焼きを拾うと、高野さんが俺を見てにこにこと笑っていた。
「澤本くんって、面白いね!」
「おい、蒼太。何照れてんだよ、お前」
「はっ!? 照れてねぇし!」
とか言いながらも、心臓のドキドキという音は止まらない。
「卵焼き、いる?」
「えっ……いいの?」
俺が頷くと、高野さんは顔に満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう! 嬉しい!」
母さん手作りの卵焼きは、俺が言うのもなんだが究極の絶品だ。