Smile
小さい頃から、母さんの卵焼きが一番の大好物だった。
大げさかもしれないが、本当においしいのだ。
「わぁっ! おいしい!」
いちいち高野さんの反応が可愛くて、そのたびに心拍数が上がっているような気がして心配になる。
俺、なんか今日すごい寿命が縮まった気がする。
「どれどれ? 俺にもちょうだい」
「私も食べたい!」
俺の残りの卵焼きは、俊也と船橋さんによって消えていった。
まったく……船橋さんはともかく、俊也はどれだけ俺の弁当を奪えば気が済むんだ?
「卵焼き、楽しみにしてたのに………」
俺がそう言うと、三人ははっとしたように俺を見た。
「ごめん、蒼太」
「いいよ、別に。母さんの卵焼きなら、いつでも食べれるから」