Smile
「それじゃ、明日も一緒に食べようね」
「おう! 4限目終わったらA組集合な!」
船橋さんと俊也はそんな会話を交わし、俺と高野さんはその隣で二人の話を聞いていた。
そして俺は、船橋さんと高野さんがC組へと歩いて行くのを見送って教室に入った。
「ああー……次の授業、数学だ……」
俺の隣でうなだれる俊也。
俺はずっと、廊下の方を見つめていた。
目が離せなかった。
高野さんの、後ろ姿が。
高野さんの、笑顔が。
頭から離れなかった。
「蒼太? どうした?」
そんな俊也の声も、その時の俺には聞こえていなかった。
窓の外では、静かに優しく風が吹いていた。