Smile
俺は早速彼女にもらったその傘を開いて、歩き始めた。
傘は少し小さかったが、文句は言えない。
俺は歩きながら、傘を貸してくれたあの少女のことを思い出していた。
俺をまっすぐに見つめる、可愛らしい大きな目。
透き通るような肌に映える、ピンク色に染まった頬。
背は小さかったが、大人っぽい顔立ちをしていた。
ていうか何で俺、一瞬会っただけの彼女のことをこんなに覚えているんだろう?
本当に、たった数分の会話だったのに。
俺は頭から離れない彼女の顔を思い出しながら、家路をたどった。
「ただいまー」
俺は、二階建ての小さな一軒家に住んでいる。
ガチャ。
玄関の扉を開けて、家に入った。