紅いクチビル
「ヒドいよ、明良ちゃん…!
愛莉、明良ちゃんと友達だと思ってたのに…
愛莉を守るって言ってくれて嬉しかったのに…!」
「違う、あたしじゃないってば…」
「じゃあ明良ちゃんを信じられる方法ってなに?!
愛莉、明良ちゃんがわからないよ…!
そんなに愛莉のこと嫌い…?
ごめんね、愛莉が明良ちゃんの奈津君をとっちゃったから…」
「愛莉は悪くないだろ。」
「でも、奈津君…!」
…“愛莉”
名前、呼んでるんだ。
ヤだな、ほんとに泣きそう。
でも、どうせみんな信じてくれないんだろうな。
でも、もう我慢できなっ…
ポツ
ポツ、ポツポツ…
そのとき、雨が降ってきた。
「…行こう、愛莉。
鱗と冬馬と薺も、行くぞ。」
「うん…」
「あぁ…」
「……、」
通りすがりに、愛莉ちゃんがクスッと笑った気がした。