紅いクチビル


バタンッ


屋上に、1人。

「…あーあ、ほんとに1人になっちゃった。」

ザー…

雨が、本降りになってくる。

あたしの涙を隠してくれる。

あたしの泣き声を、消してくれる。


「ふっ、ぅあ、あぁぁっ…!」



裏切り者のレッテルを貼られた、瞬間だった。



「奈津、なつ…っ」

どうして信じてくれないの?

いつもみたいに、笑って

『どーせお前にそんな事できないだろ?』

って言ってよ…!


「な、つ…」

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