紅いクチビル


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ずっと、泣いていた。
涙が枯れるまで、泣いていた。

そうして涙が枯れた後、あたしは静かに屋上を出た。



びしょぬれで、教室に鞄を取りに行って。

みんなからの視線を浴びつつ、何も言わずに教室から出た。

先生になにを聞かれても、何も答えられなかった。




…これって、サボりなのかな。

もう、どうでもいっか。


明日から、学校が憂鬱になる。

行きたくないな。


そんなことを考えながら、おぼつかない足取りで家に向かった。


雨の中、傘もささずに。

(つめたい…)

そんなこと、気にならなかった。

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