紅いクチビル

「なるほどな…」

会って急になるほどなって、なにそれすっごい意味深…。

「あの…誰ですかどこですか。」

「まあそうなるわな。」

「黒江、この子のコト出たの？」

「ああ。」

スルー…された？
何この人達…

あたしさっきまで何してたんだっけ。

…っあ、そう、か。
奈津達に、裏切り者のレッテルはられたばっかだった。


もう、すべてがどうでもいい。


あたしがどうなったって、心配してくれる人はいない。

だったら…なにも抵抗なんてしない。
抵抗しても意味がない。


「…なんだ、驚かないのか？」

「…」

「オレたち人攫いかもしれないよ？」

「…」

驚いたところで、何も変わらない。
自分が今どこにいても、心配してくれる人はいない。

助けに来てくれる人はいない。