紅いクチビル

「気に食わないな。
どうして逃げようとしないんだ?」

「…」

「しょうがないんじゃない?
こんな目してるし。」

「…確かに、それどころじゃない、か。」

それどころじゃない…?
あたしの、何を知ってるって言うの。

「西條明良、17歳。
現在高校2年で澤田奈津と一応交際中。
学力はそこそこ、運動はできる方…か。」

「…調べたの?あたしのこと。」

「これも、驚かないんだねぇ。」

冬馬君、そういうのやってたから。

「可哀想にな。
恋人にまで信じてもらえずに。」

なっ…なんでそこまで知って、

勢いよく顔を上げた瞬間に、びっくりした。

目の前にいる2人の男の人は、両方とも顔が整ってるということ。

それと、あたしのことを可哀想にと言った人が、笑っていること。

< 26 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop