紅いクチビル
「…明良はもう、仲間でもなんでもない。
そうだよな?奈津。」
「信じてたのに…。」
「薺君…僕も、信じられないな。
明良さんがこんなこと…」
「当然だ。
愛莉はもう守ると言った時点で俺達の仲間なんだよ。
その仲間を売ったヤツは、仲間じゃない。
ただの裏切り者だ。」
そう、裏切り者。
自分でも分かってるのに、どうして俺は明良の心配をしてるんだ?
まだ屋上にいるのか。
ずぶ濡れになってないか。
風邪ひかないか。
(クソッ、なんであんな裏切り者なんかの心配をしなきゃいけないんだ…!)