紅いクチビル

なに、駆け寄ろうとしてんだ。

アイツの下着が透けてようが、変なヤツに襲われようが、関係ないだろ。

アイツはもう、仲間じゃないんだから。


「…っ、」

裏切ったのはおまえだろ?明良。

なのに、どうしてそんな空っぽの顔をするんだ。

裏切られたのは、俺達なのに。

どうしてそんなに、絶望的な顔をしてんだ。


「…明良。
俺はお前を、許さない。」

俺は、そう呟いた。
こうでもしないと、きっと俺はアイツを信じてしまう。

アイツは裏切り者なのに、同情してしまう。
また、好きになってしまう。

だから、俺は自分に暗示をかける。


“俺は、西條明良なんか好きじゃない”


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