紅いクチビル

「…奈津?
こんなとこにいたんだ。
ずっとこないから、心配すんじゃん。」

「あぁ、鱗か…」

「薺と冬馬は、愛莉と一緒にいる。」

「…そうか。」

「なぁ、どうしたんだよ。
…やっぱり、明良のことか?」

「…さっき、明良がここに来た。」

「っ…なんて?」

なにって…

「裏切り者のあたしをいちいち気にするなって。」

「…っじゃあ、やっぱり明良が「退学するって。」………え?」

…まあ、そういう反応するよな。

「明良、退学するってさ。

やっぱり、アイツが裏切り者で間違いなかったんだ。

でも、アイツ…俺が好きだったって言ったんだ。

西條明良に会うのは最後だとも言ってた。
次会うときは…アイツじゃないってさ。」

< 40 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop