紅いクチビル

「…じゃあ、そう呼んでください。」

「了~解~」

「潰れるなよ、アキ。」

潰れませんよ。

潰れたら、復讐なんて出来ないでしょう?

そのためなら、あたしなんでもする。

あたしと奈津の仲を引き裂いたあの女に。
あたしを信じてくれなかった薺、鱗、冬馬君、そして奈津に。


もう、泣かない。

泣いてもなにも変わらないから。


もう、誰も信じない。

信じなければ、傷付いたりしないから。


もう、笑わない。

楽しいコトなんてひとつもないから。

だから。





もう、笑えない。





今のあたしを、あたしは棄てる。

復讐の下僕として、生まれ変わるために。


< 50 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop