病み彼女との恋愛
「………………もういいですわ。

失礼します」

「え、あ、ああ」

ため息をつかれた…

まあ、いいや。

扉が完全に閉まると生徒会室に俺だけとなる。

俺が生徒会に入ったのも逃げる場所が欲しかったから…

生徒会室なら、居ても可笑しくないから。

最初は保健室に逃げてた。

でも、先生がいるからその内限度が来た。

だから、俺は生徒会に立候補した。

俺は強くない。

心も身体も。

今も昔もただの弱虫なんだ。

もう、失いたくなくて、失ったものを忘れたくなくて、逃げる。

こんな風になった俺をお前は笑うか?

いや、いっそ笑ってくれた方がマシだな

窓を開けると校門に登校してくる生徒達の姿。

生徒達も俺に気付いて遠くからだが挨拶をしてくれる。

「おはよう」

そう呟いて手を振る。

なんか、歓声にも似た叫び声が聞こえたが気にしない

「…由莉……

お前のことは忘れない

だから、俺の事を見守ってくれないか?

……俺だけじゃなくてもいい。

小毬の事も、お前とは面識はないだろうけど聡のことも。

あいつらに不幸なことが降りかからない様にと……

…俺は、あの頃と比べて弱くなったよ」


そう空に呟く。

空は俺の心とは反対に晴れ晴れとした秋晴れの空だった。






そして、俺は考える。

壊れてしまったモノはもう、直ることは出来ないのだろうかと……



*KISAside、end*
< 34 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop